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どのくらいで15弦ハープが弾けるようになりますか?

15弦ハープが弾けるようになるまでどのくらいかかりますか?

阿久津 瞳

結論から言うと、人によります。
「弾ける」の定義にもよりますし、本当に個人差が大きいです。
しかしそれだと身も蓋もないので、楽器未経験の方が15弦ハープのレッスンを受け始めた場合の上達の目安として、7年以上趣味でハープを弾きたい方のためのハープ教室をしてきた経験から、ざっくりと書いてみました。

まず、どのレベルを持って「弾ける」というのかの定義が必要です。

音は並べられても、強弱や、演奏の滑らかさや感情が入っていないと「弾ける」と言えないのか?などと考え出すとキリがなくなります。

私が主宰しているハープ教室は、あくまで趣味でハープを弾きたい方のためのハープ教室です。音大受験や、アイルランド伝統音楽のための教室ではありません。

そのため、この記事では、「少なくとも正確な音とリズムで音が鳴らせる」を「弾ける」としておきます。

また、私の教室は、大人の方、特に60代以上で、趣味でハープを弾きたい方が多い教室です。

仮定する生徒さんとして、「楽器未経験で、比較的時間に余裕のある大人の方で、月2回以上のレッスンを受けており、家でもしっかり練習できる方」という条件で書いていきたいと思います。

目次

右手だけできらきら星なら、体験レッスンで弾ける

とりあえず、「右手の人差し指だけを使って、正確な音とリズムできらきら星が音弾ける」というレベルなら、楽器未経験だったとしても、最初の体験レッスンの時にほとんどの人が弾けるようになります。

1〜2ヶ月で、両手人差し指のみを使う曲が弾ける

ハープは通常、両手の4本指を使って演奏します。

しかし、両手人差し指だけでも曲を奏でることは十分可能です。

右手人差し指でメロディ、左手で短音の伴奏をするだけでも、美しいハーモニーを楽しむことができます。

右と左で違う動きをするので、楽器未経験の方は、両手人差し指で簡単な曲を弾く場合も、正確な音とリズムで弾けるようになるまで1〜2ヶ月はかかる印象です。

ピアノの経験がある方は、右手と左手で違う動きをすることに慣れているので、ハープを始めたその日のうちに両手で弾けてしまう方もいらっしゃいます。

3ヶ月〜半年でいろいろな指を使った曲が弾ける

「いろいろな指」とは、これまたざっくりした言い方ですよね。

個人差がかなり大きいのですが、3ヶ月〜半年くらいあれば楽器未経験から始めても、2〜3本指を使ってのメロディと簡単な伴奏ができるようになる方が多い印象です。

上達が速い方は4本指全ての指を使えるようになり、複数の音を同時に鳴らす和音や、和音を分散させて奏でるアルペジオも奏でられるようになります。

15弦ハープの基礎を一通り学ぶには、頑張れば1年程度

楽器未経験から始めても、1年程度で15弦ハープでできるテクニックを一通り学び終わることが多い印象です。

ただ、基礎を一通り学び終わり、頭で弾き方はわかっていることと、テクニックが完璧に身に付いて、自由自在に使いこなせることは別です。

吹奏楽部だったり、ピアノが弾けるなど、音楽の基礎をすでに身につけている方ですと、もちろん上達は早いです。

中には半年くらいであっという間に基礎を身につけてしてしまった方もいらっしゃいました。

ただ、楽器未経験から1年では、指の動きの基礎は一通り学べても、譜面に自分で指番号を付けたり、曲のアレンジをしたり、曲を滑らかに奏でたりするにはまだ至らない方が多い印象です。

3年程度は続けるのがおすすめ

月2回以上のレッスンを継続的に受け、練習もしっかりされてる方なら、3年あれば基礎的な指遣いはほぼ定着してきます。

自分が弾きたい曲に自分で指番号をつけられるようになってきます。

生徒さんによっては、自分で曲をハープ用にアレンジできるようになります。

趣味で奏でたい方でも、3年くらいは最低でも続けられると、教室に通わなくなった後でもハープを楽しめる可能性が高い気がします。

私(阿久津 瞳)の場合

私一個人の経験なので、参考になるかわからないのですが、自分の経験について書いてみます。

私の音楽経験としては、4歳から13歳までのピアノを習っていました。ただほとんど練習していなかったため、バイエルを終えた程度のレベルしかありません。

当時は15弦ハープというものが一般に販売されていなかったので、27~34弦ハープについての体験談です。

2011年、大学4年生の冬、22歳の時に、借りぐらしのアリエッティの主題歌を歌ったセシル・コルベルさんのハープに感動してハープに興味を持ちました。宇都宮で体験レッスンを受け、ハープに初めて触れました。

青山ハープ130シリーズのナチュラル色のハープでした。

私はハープ弦は2列になっていると勝手に思っていましたが、1列だったのに驚きました。実際に体験に行くまで、Youtubeでハープ演奏動画を見まくっていたのに、気づきませんでした。

最初のレッスンでは、4本指までの指の使い方と、アメイジンググレイスの弾き方を教えていただきましたが、自分の指の動かなさにとてもショックでした。

自分の指じゃないみたい。正直、もうちょっと自由に弾けると思っていました。でも、これはただの趣味じゃなくて何か形にしたいと思いました。

最初に手に入れたハープは27弦でした。フランス製カマックハープのバルディック27。

運のいいことに新卒で入った会社や家からも通えるところに先生がいらっしゃり、月3回のレッスンに3年間通いました。

教本は有名なヨセフ モルナール著の青本でした。

通常はもっと簡単な曲集から始めるところ、習い始めて1曲目に弾きたいとリクエストしたのが毛利沙織さん編曲の「いつも何度でも」。今思うと最初の曲としては無謀なレベルでした。

新卒社会人は覚えることも膨大で、半泣きになりながら残業していましたし、ハープ以外にも居合道と剣舞の趣味もあり、ハープの練習を毎日できていたわけではありませんでした。

曲が一曲弾けるようになると、休日に朝から晩までスマホのカメラを回し、ようやく撮れた許容範囲レベルの演奏動画をYoutubeにアップしていました。

これは良い経験になったと思います。

以下が、私が生まれて初めてYoutubeに投稿した演奏動画です。今は別チャンネルを作っていますが、アイルランドに行く前まではこちらのチャンネルに演奏動画を投稿していました。

演奏に固さを感じますね。。。

ハープを3年習った後では、確かに基礎的な指の動きは頭で理解していた気がします。しかし、それが完璧に身に付いていたとは言えない状態だったと思います。

そして、今練習している曲はまだ弾けないし、今まで習った曲は忘れてしまって、常に弾ける持ち曲というものがありませんでした。

発表会などは指がブルブル震えて超緊張しますし、Youtubeにアップして、ある程度完成したと思っている曲でも人にハープを聞かせようと思うと、練習の6割くらいの出来でしか演奏できませんでした。

また、自分で曲のアレンジをすることはできませんでした。

2014年、25歳の時に、一念発起してアイリッシュハープ、アイルランド伝統音楽を学ぶためにアイルランドへ行きました。

現地にバルディック27を持っていき、途中からは34弦ハープをレンタルしていました。

アイルランドではハープを家でもストリートでも弾いて、1日の多くの時間をハープの練習に費やしました。一生で1番ハープを弾けていた時期です。いろいろな先生のレッスンを受け、曲のアレンジ法の基礎を教えていただいたり、本当に学びの多い1年でした。

また、ストリートミュージシャンやイベント演奏、結婚式の演奏などいろいろ経験させてもらって、人前で演奏すると言うことにほんのちょっとは慣れてきました。

しかし、帰国後は人生に迷ってしまい、引きこもって1年くらいはほとんどハープを弾かない生活をしていました。

自分が想像していたほどはハープが上手くならなかったこと、アイルランド伝統音楽を学ぶには1年はあまりにも短く、これ以上勉強するための資金の余裕もなかったことなどで、とても落ち込みました。

少し気分が晴れてきた時期から、またハープを1日中弾く生活をして、Youtubeにたくさん動画を投稿し始めました。

アイルランドから帰ってきてからよりも、1年くらいハープを弾かない期間を経たあとの方が指が動くようになった気がしました。

2017年に、やはりハープで生きていきたいと一念発起してハープ教室と演奏活動を始めました。

最初のうちは、まだまだ人前演奏は緊張してしまって、指はブルブル震えるし、演奏が不安定になってしまうことに悩んでいました。

解決方法を探して、「アレクサンダーテクニーク」のレッスンを受けました。

演奏姿勢やメンタル面のアドバイスをいただいた結果、演奏の安定感が出るようになって大変助かりました。

2017年から、自分で曲の伴奏アレンジも挑戦し始めました。

この時期から、ある程度弾かない期間があっても体が覚えている持ち曲ができるようになりました。

人のアレンジは忘れやすいのですが、自分であーでもない、こーでもないと考えたアレンジは記憶に残りやすいのかもしれません。また、アレンジのパターンも身についてきて、一度決めたアレンジを忘れてしまっても、その場で即興的に考えて対応できるようになりました。

ハープに初めて触れてから13年ほど経った2024年現在では、慣れた曲なら、人前演奏でもほとんど緊張しなくなりました。(慣れていない曲は未だに緊張します。)

弾きたいと思った曲は、あまり難しいアレンジはできませんが、ある程度自由に弾けるようになりました。

自分もまだまだ発展途上ではあリますが、自分が最初に目指していたレベルには到達することができました。

ハープを始めたばかりの頃から考えると、こんな日が来るとは思えませんでしたので、夢のようです。

途中で休みながらも、ハープを続けてきて良かったと心から思います。

アイルランドにいた時は、早く上手くならなくては、これをなんとしてもモノにしなければ、と、焦る気持ちがとても強かったです。

でも、楽器が弾けるようなるには、どうしてもある程度時間はかかるものです。

どのくらいで弾けるようになるのか、は気になるかもしれませんが、

弾けるようになるまでの過程を楽しむことが大切かもしれません。

少しでも参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

2017年より栃木県宇都宮市でハープ教室「竪琴教室 林音」を主宰。
2024年より大田原黒羽教室をオープン。

22歳でハープを習い始めたため、大人になってからのハープ習得の指導を得意分野とする。

国産材ハープ「森の竪琴」の企画販売、演奏活動を行うことで、
日本の木を使うことの大切さを伝えている。

2011年 宇都宮大学農学部森林科学科卒業。
2022年 宇都宮大学大学院地域創生科学研究科修了。

大学卒業後3年間、自然ガイドとして働きつつハープを習い、
その後アイルランドに渡り1年間アイリッシュハープを学ぶ。

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